売らなかった人が勝つ─インデックス投資の鉄則


インデックス投資を始めた多くの人が、一度はこう思ったことがあるはずです。 「暴落が来たらどうすればいいのか?」「売ったほうが安全なのでは?」

しかし、長期的に見て投資成果を決定づける最大の要素は、「何を買うか」でも「いつ買うか」でもなく、『売らないこと』です。

この記事では、インデックス投資における「売らない」という選択がなぜ合理的なのかを、投資の構造・人間心理・実証データという3つの観点から解説します。

インデックス投資とは、個別の企業やタイミングを選ぶのではなく、市場全体の成長に乗る仕組みを利用した投資です。 短期的な上下動は避けられませんが、長期的に見れば世界経済は成長を続けてきました。

その成長の恩恵を得るには、「いつ買うか」よりも「どれだけ長く保有したか」が圧倒的に重要です。

複利の力は「元本 × 利回り × 時間」で決まる。

つまり、どれだけ長く市場にとどまれるかが、最終的なリターンを左右します。 売却することで「時間」という最大の武器を失うことになるのです。

相場が急落すると、多くの投資家は不安に陥ります。 「もっと下がるかもしれない」「早く逃げたほうがいいのでは」といった心理により、最も安いタイミングで売却してしまう人が続出します。

人間の感情は、合理的な判断を簡単に狂わせる。

そしてその判断は、多くの場合「損失確定」と「回復機会の逸失」につながります。 恐怖に基づく売却は、市場に残り続けた人との間に大きな差を生むことになります。

歴史を見れば明らかなように、どんな暴落も一時的な現象にすぎません。

  • リーマンショック(2008年)後、株価は数年で回復
  • コロナショック(2020年)後は、わずか1年で高値を更新

売らなかった人は、「安値で自動的に買い増し」「その後の回復で利益拡大」を自然に実現しています。

インデックス投資において「売らない」は、最もシンプルかつ再現性の高い戦略です。

インデックス投資では、市場にとどまり続けた人ほど報われる──これは過去の相場が何度も示してきた事実です。

たとえば、リーマンショックが起きた2008年にインデックス投資を始めた2人の投資家を想像してみましょう。

  • Aさん:暴落時も積立を継続
  • Bさん:下落に恐怖を感じて売却し、その後も再投資できず

この2人の10年後を比べると、Aさんは市場の回復と成長の恩恵を受け、資産を着実に増やすことができました。一方Bさんは、最も重要な上昇局面を逃し、機会損失によってリカバリーが困難になりました

株式市場では、長期的なリターンの大部分が「数日間の急上昇」に集中することが知られています。しかも、そうした日は暴落直後に現れることが多く、退場しているとその恩恵に預かれません。

投資で本当に重要なのは、「いつ買うか」でも「どれを選ぶか」でもなく、
「とどまり続ける勇気があるかどうか」です。

まとめ:「売らないこと」が優位性を生む

インデックス投資は、時間と成長を味方につけるゲームです。 売るべきタイミングを見極めようとするよりも、市場にとどまり続けることのほうがはるかに現実的かつ効果的です。

  • 売らずに保有し続ければ、複利の力が最大限に活かせる
  • 暴落時も、機械的に積み立てを継続するだけで「安値買い」が実現する
  • 回復相場の初動を逃さず、自然にリターンを獲得できる

「売らない」は感情に逆らう決断だが、最も合理的な選択である。

インデックス投資の本質は、“見極めること”ではなく“居続けること”。 それができた人が、最終的に資産形成のゲームに勝つのです。

タイトルとURLをコピーしました