ゼロから作らない:既存資料を活用する外資コンサル流「資料作成」

 

外資コンサルの資料作成では、毎回ゼロから考えて作り始めるのではなく、すでに存在する良質なインプットを最大限活用することが重要です。

提案書、ディスカッションペーパー、過去案件の成果物、オファリング資料など、使える素材を最初に集めて骨格を作れば、資料作成のスピードは大きく上がります。

ただし、単純に過去資料をコピペすればよいわけではありません。大切なのは、「集める→選ぶ→組み立てる→整える→蓄積する」という流れで進めることです。

本記事では、既存資料をうまく活用しながら、スピードと品質を両立する資料作成の進め方を解説します。

資料作成に必要な情報を集めるときは、基本的に

社内資産 → 外部調査 → 必要に応じた追加取材

の順で考えると効率的です。

社内には、すでに活用可能な「提案書」「ディスカッションペーパー」「オファリング資料」「過去案件の成果物」などが蓄積されています。

これらの強みは、単に文章や図表を再利用できることだけではありません。すでに一定の品質で整理されており、業界特有の論点や資料の構成、説明の粒度まで参考にできます。

たとえば、新しい提案書を作成するときに、いきなりインターネットで市場情報を調べ始めるよりも、まず過去の類似提案書を確認した方が、

  • どのような論点を扱うべきか
  • どの程度の粒度で説明すべきか
  • どのような構成が使われているか

を短時間で把握できます。

そのうえで不足している情報だけを外部調査で補えば、必要以上に調査範囲を広げずに済みます。

ただし、資料を探すこと自体が目的にならないよう注意が必要です。過去資料を大量に集めても、実際に使えるものがなければ時間だけを消費します。

資料を見つけたら、「今回の目的に近いか」「そのまま使える部分があるか」「構成の参考になるか」を早めに判断し、使えるものだけを残すことがポイントです。

効率的な資料作成の基本は、「骨格→肉付け」の順で進めることです。

最初から細かい情報を調べ始めると、調査した内容に引っ張られて全体構成が散らかったり、最終的に使わない情報まで深掘りしたりしがちです。

まずは既存資料を参考にしながら、

  1. この資料で何を伝えるのか
  2. そのためにどの論点が必要か
  3. どの順番で説明するのか

を整理し、アジェンダやページ構成を固めます。

たとえば10ページ程度の資料であれば、最初に各ページのタイトルや「このページで何を言いたいか」を置いてみます。既存資料から使えそうなページや図表を当てはめると、どこまで既存情報で埋まり、どこに情報不足があるのかが見えてきます。

そこで初めて、残ったギャップを追加調査します。

調査してから資料を作るのではなく、資料の骨格を作ってから必要な調査を特定する。

この順番にすることで、調査範囲を絞り込みながら、資料として必要な情報を漏れなく集めやすくなります。

既存資料は非常に便利ですが、見つけた資料をそのまま流用するのは危険です。

特に確認したいのは、

  • 資料を作った目的
  • 対象となる業界や企業
  • 前提条件
  • 情報の時点
  • 今回の資料全体との整合性

です。

たとえば、過去の提案書に非常に分かりやすい市場動向のページがあったとしても、その資料が数年前に作成されたものであれば、数値や市場環境が現在と異なっている可能性があります。

また、別のクライアント向けに作られた資料では、同じテーマでも前提や課題設定が違うことがあります。

そのため、既存資料は「完成品」として扱うのではなく、今回の資料を早く作るための素材として考えるのが基本です。

使える部分は積極的に再利用しつつ、今回の目的に合わせて取捨選択・更新・再構成します。

ここを省略すると、「過去資料を貼り合わせただけ」の資料になり、ページ単体では正しくても、資料全体として何を伝えたいのか分からなくなります。

既存資料を再利用するときに最も注意したいのが、資料全体の品質です。

複数の資料から情報を集めると、ページごとに表記や情報の時点が異なり、「寄せ集め感」が出やすくなります。

最低限、次の3点は確認しておきましょう。

出典を確認する

外部データや調査結果を使用する場合は、出典が明確かを確認します。

元資料に記載されていた出典をそのまま残すだけではなく、リンク切れや更新の有無も確認し、可能であれば一次情報までたどると安心です。

数値を最新化する

市場規模、企業業績、制度情報などは時間とともに変わります。

過去資料のグラフや数値を使う場合は、「当時は正しかった」だけで判断せず、今回の資料でもその数字を使って問題ないかを確認します。

数値だけ更新した結果、本文の説明や結論と矛盾しないかも併せて確認することが重要です。

用語や表現を統一する

複数資料からページを集めると、同じ意味でも異なる言葉が使われていることがあります。

たとえば「顧客」「クライアント」「ユーザー」などがページごとに混在すると、細かな違いでも資料全体が粗く見えます。

主要な用語や表記ルールを揃えるだけでも、資料の完成度は大きく上がります。

最終的には、**「このページ単体が正しいか」だけでなく、「この資料全体として一つのストーリーになっているか」**を確認することが大切です。

資料作成の効率をさらに高めるには、インプットを一度使って終わりにしないことも重要です。

良い資料を作っても、後から見つけられなければ次回またゼロから探すことになります。

そこで、ファイル名や保存場所に最低限のルールを設けます。

たとえば、

「YYYYMM_案件名_テーマ」

のように、後から検索しやすいキーワードをファイル名に含めておく方法があります。

重要なのは、細かすぎる分類ルールを作ることではありません。必要になったときに数分以内で見つけられる状態を作ることです。

案件名だけでなく、「市場調査」「プロジェクト計画」「業務改革」など、再利用時に検索しそうなテーマを意識して保存すると見つけやすくなります。

また、個人のフォルダだけに保管するのではなく、ルール上問題のない範囲でチームの共通リポジトリに蓄積すれば、他のメンバーが作った良質な資料も再利用できるようになります。

こうして、

過去資料を使って新しい資料を作る
→ 新しい資料も再利用できる形で蓄積する

というサイクルを作ると、チーム全体の資料作成スピードも徐々に上がっていきます。

まとめ

外資コンサル流の資料作成で重要なのは、毎回ゼロから考えるのではなく、すでにある良質なインプットを使って最短で骨格を作ることです。

基本的な流れは次のとおりです。

  • 社内資産を最優先で収集する
  • 使える資料を選び、先に資料の骨格を固める
  • 不足している部分だけを追加調査する
  • 出典・数値・用語・ストーリーを整えて品質を担保する
  • 完成した資料も再利用できる形で蓄積する

つまり、「集める→選ぶ→組み立てる→整える→蓄積する」という流れを習慣化することで、資料作成のスピードと品質を両立できます。

次に資料を作るときは、いきなり白紙のPowerPointを開いて考え始めるのではなく、まず**「過去に使える資料はないか」**を探すところから始めてみてください。

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