示唆導出ステップ①_目的・ゴールの明確化

 

仕事で何かを分析するとき、「まずデータを集めよう」「とりあえず考えてみよう」と始めていないでしょうか。

しかし、何を達成したいのかが曖昧なまま考え始めると、調べる範囲が広がりすぎたり、途中で論点が変わったりして、なかなか有効な結論にたどり着けません。

外資系コンサルの実務で示唆を導き出すとき、最初に明確にするべきなのは、「この仕事で何を達成したいのか」という目的・ゴールです。

ゴールが決まることで、初めて「何を明らかにすべきか」「どんな仮説を立てるべきか」「何を調べるべきか」を逆算できるようになります。

本記事では、示唆導出の最初のステップである「目的・ゴールの明確化」について解説します。

示唆を出すためには、情報収集や分析が必要です。しかし、その前に「そもそも何のためにこの仕事をするのか」が決まっていなければ、何を調べればよいのかも決まりません。

たとえば、上司から「最近売上が落ちているから調べてほしい」と言われたとします。

そのまま分析を始めると、商品別売上、地域別売上、顧客別売上、競合動向、市場規模、広告効果、営業活動、価格など、関係しそうな情報を際限なく調べることになりかねません。

しかし、この仕事のゴールが、

「次回の経営会議で、売上回復のためにどの施策を実施するか決める」

ことだと分かれば、考えるべきことはかなり絞られます。

必要なのは、単に売上の数字を整理することではありません。

「なぜ売上が落ちたのか」
「どの原因の影響が大きいのか」
「その原因に対して何をすべきなのか」

を明らかにする必要があります。

ゴールが明確になることで、初めて必要な論点や分析を逆算できる。

これが、示唆導出の最初に目的・ゴールを明確にする理由です。

ここで注意したいのが、「やること」と「ゴール」を混同しないことです。

たとえば、

  • データを分析する
  • PowerPointを作る
  • 会議で説明する

といったものは、基本的には作業や手段です。

「部長会議で使う1枚のスライドを作る」というのも、それ自体が最終的なゴールとは限りません。

本当のゴールが、

「部長会議で、新しい販促施策を実施する承認を得る」

ことであれば、そのために必要な手段として、

「売上低下の原因、施策案、期待効果、必要コストを1枚のスライドにまとめる」

という成果物を作ることになります。

つまり、

目的・ゴール
→ 何を明らかにする必要があるか
→ そのために必要な分析や成果物

という順番で考えることが重要です。

最初から「資料を作ること」を目的にしてしまうと、きれいな資料はできても、本来解決すべき課題や意思決定につながらないことがあります。

では、具体的に何を確認すればよいのでしょうか。

実務では、次の4つを整理すると、その仕事のゴールと、その先に必要な示唆が見えやすくなります。

1. この仕事で何を達成したいのか

まず考えるのは、「この仕事が終わったとき、何が実現していればよいのか」です。

たとえば、

  • 売上回復の施策を決定する
  • プロジェクト遅延への対応方針を決める
  • 新しいシステムを導入するか判断する
  • 経営会議で施策の承認を得る

といったものです。

「分析する」「資料を作る」ではなく、その仕事によって実現したい状態まで考えることがポイントです。

2. 誰の、どのような判断や行動につなげるのか

次に、その示唆を誰が使うのかを考えます。

たとえば経営層が施策を決定するための分析なのか、現場担当者が具体的なアクションを決めるための分析なのかによって、必要な情報は変わります。

経営層であれば、「何が起きているのか」「なぜ起きているのか」「何をすべきなのか」を短時間で判断できることが重要です。

一方、実行する担当者であれば、具体的な作業内容や担当者、スケジュールまで必要になるかもしれません。

誰のどんな判断・行動につなげるのかまで考えると、ゴールがより具体的になります。

3. 最終的に何を明らかにする必要があるのか

ゴールを達成するために、「何に答えられる状態になればよいのか」も明確にします。

たとえば、ゴールが「売上回復施策を決定すること」であれば、

「なぜ売上が落ちたのか」

だけでは十分ではありません。

「売上低下の主要因は何か」
「どの原因を優先的に解決すべきか」
「どの施策が最も有効なのか」

まで明らかにする必要があります。

この「最終的に何を明らかにするのか」が、この後に設定する論点や仮説の土台になります。

4. 最終的にどのような成果物が必要か

ゴールと明らかにすべきことが決まったら、最後に成果物の形を考えます。

たとえば、

  • 経営会議用の1枚スライド
  • 詳細な分析資料
  • Excelの分析表
  • メールでの報告
  • プロジェクト計画書

などです。

ここで初めて、アウトプットの形式を考えます。

重要なのは、「PowerPointを作ること」そのものではありません。ゴールを達成するために、必要な情報をどのような形で相手に届けるのが最も適切かを考えることです。

ゴールが決まると、次に立てるべき仮説が見えてくる

目的・ゴールを明確にすると、その後の思考プロセスを逆算できるようになります。

たとえば、

ゴール:
経営会議で、売上回復施策の実施方針を決定する。

明らかにすること:
売上低下の主要因は何か。
どの施策を優先して実施すべきか。

ここまで決まれば、次に考えるべきことが見えてきます。

たとえば、

「売上低下は、新規顧客の減少が主な原因ではないか」
「特定の商品カテゴリーの落ち込みが大きいのではないか」
「価格変更によって購入率が下がったのではないか」

といった仮説です。

そして、その仮説を検証するために必要な情報を集め、分析し、最終的な示唆を導き出していきます。

流れを整理すると、

① 目的・ゴールを明確にする
→ ② 仮説を設定する
→ ③ 必要な情報を収集・分析する
→ ④ 示唆を導き出す

となります。

この最初のゴール設定が曖昧だと、その後にどれだけ高度な分析をしても、「結局、何のための分析だったのか」が分からなくなってしまいます。

日常業務でも、仕事を始める前に次の4つを確認するだけで、目的・ゴールを明確にしやすくなります。

  1. この仕事で何を達成したいのか?
  2. 誰の、どのような判断や行動につなげるのか?
  3. そのために、最終的に何を明らかにする必要があるのか?
  4. どのような成果物として示すのが適切か?

たとえば上司から「最近売上が落ちているから調べておいて」と言われた場合、すぐにExcelを開いて分析を始めるのではなく、

「最終的には、売上低下の原因を明らかにして、次回の会議で対応施策を決めるための材料を整理する理解で合っていますか?」

と確認してみます。

これだけでも、調べるべきことや分析の方向性がかなり明確になります。

特に曖昧な依頼ほど、作業を始める前に「そもそも何を達成したいのか」を合わせることが重要です。

まとめ

外資系コンサルが示唆を導き出すとき、最初から情報収集や分析を始めるわけではありません。

最初に行うべきなのは、「この仕事で何を達成したいのか」という目的・ゴールを明確にすることです。

そのうえで、

  • 誰のどのような判断・行動につなげるのか
  • 最終的に何を明らかにする必要があるのか
  • どのような成果物が必要なのか

を具体化していきます。

ゴールが明確になれば、そこから必要な仮説、情報、分析を逆算できます。

示唆導出のスタート地点は、「とりあえず考えること」ではなく、「何を達成したいのかを決めること」です。

まずゴールを定める。そこから仮説を立て、必要な情報を集め、分析し、示唆を導き出す。

この順番を意識するだけでも、思考のブレや無駄な分析を減らし、より目的に合った示唆を導き出しやすくなります。

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