全ての行動前に”設計図”を描く習慣

　
忙しいビジネスの現場では、つい「とりあえず動く」ことが評価されがちです。しかし、外資系コンサルの現場で求められるのは、ただ手を動かすスピードではなく、「構造的に考え、効率よく成果を出す力」。その鍵となるのが、全ての行動前に“設計図”を描くという習慣です。本記事では、「先に設計図を書く」ことの重要性や、それを日常業務へ落とし込むための習慣を紹介します。

「考える前に動く」ではなく「設計図を描いてから動く」メリット

「とにかく手を動かす」という姿勢が一見前向きに見える一方で、実際には非効率の温床になることが少なくありません。 たとえば、プレゼン資料を作る際に、構成を考えずにスライドから作り始めてしまうと、最終的に修正が増え、無駄な作業が膨らみます。これは、「目的地を決めずに車を走らせている」のと同じ状態です。計画を先に立てることで以下のメリットが得られます。

成果物の方向性が明確になる
無駄なやり直しが減る
思考の過程が可視化され、他人のレビューがしやすくなる

つまり、「設計してから動く」ことで、スピードと質の両方が向上するのです。

設計図を描く＝構造を定義する

設計図といっても、複雑な図表や高度なフレームワークを使う必要はありません。大切なのは、頭の中の構造をシンプルに言語化することです。 具体的には、以下のような汎用フレームが効果的です。

PREP法：Point → Reason → Example → Point
ピラミッド構造：Why（なぜ）→ What（何を）→ How（どうやって）

このようなフレームをもとに考えると、メッセージにも納得感が生まれ、聞き手や読み手にもスムーズに伝わります。さらに、作業の目的や期待されるアウトプットを最初に明文化することで、チームメンバーとのすれ違いも未然に防げます。これは、コンサルの現場で“限られた時間で最大限の成果を上げる”うえでも極めて重要です。

「設計図を描いてから動く」を日常に取り入れるシンプルな習慣

「先に設計図を描く」ことの効果は大きいものの、考え方だけ理解しても、日々の業務で使われなければ意味がありません。重要なのは、「続けられる形」で日常に組み込むことです。

まず意識したいのは、タスクに取りかかる前に5分だけ構造を考える時間を取ること。この時間で、「何を目的に、どんな順番で進めるか」「どんなアウトプットに落とすか」をざっくりでも書き出します。形式は問いません。メモ帳でもホワイトボードでもOKです。

さらに、通常のToDoリストを「思考順リスト」に変換することも効果的です。つまり、「何をするか」ではなく「何をどう考えるか」を先に整理することで、思考の順序と行動が直結し、無駄な迷いや脱線が減ります。

チームワークにおける”設計図”の重要性

設計図を先に描くことは、個人だけでなくチーム全体のパフォーマンスにも大きく影響します。
特に以下の点でその価値が発揮されます。

1.レビューの精度が上がる：
先に設計図を共有しておけば、上司や同僚からのフィードバックが構造的になり、「見た目」や「言葉遣い」の指摘に終始しません。

2.指示が伝わりやすくなる：
部下やチームメンバーにタスクを振る際も、設計図を示すことで相手の理解度が格段に高まります。「これがゴールで、こういうロジックで進めたいから、まずはこのパートをお願いしたい」といったやり取りができれば、タスク自体が半分終わったようなものです。つまり、「設計図を見せる」は、チームメンバーの生産性を高めると同時に信頼度も高める武器なのです。