「若いうちは株式中心でいい」「年齢が上がったら債券を増やした方がいい」と聞いたことがある人は多いでしょう。
しかし、債券を持つべきかどうかを年齢だけで決める必要はありません。重要なのは、そのお金をいつ使う予定なのかです。
数年後に使う予定のお金を株式のまま持ち続けるのは不安がある。一方で、今すぐ使うわけでもないのに、すべて現金にしておく必要もない。そんなときに、株式と現金の間をつなぐ役割を果たすのが債券です。
債券の役割は「資産を増やす」より「価値を安定させる」
資産形成というと、「どの商品が最も増えるのか」に目が向きがちです。
しかし、すべての資産に高いリターンを求める必要はありません。資産にはそれぞれ異なる役割があります。
長期間使う予定がないお金であれば、株式で長期的な成長を狙うという考え方があります。一方、近いうちに使うことが決まっているお金なら、値動きのある資産で持ち続けるより、現金で確保しておいた方が使いやすくなります。
債券は、その中間に位置する資産として考えるとわかりやすくなります。
株式より値動きを抑えながら、現金より一定の収益を期待する。これが、資産形成における債券の基本的な役割です。
つまり、債券は「資産を最大限増やすための商品」というより、将来現金化する予定の資産を、ある程度安定させながら保有するために使います。
この視点を持つと、「自分は何歳だから債券を何%持つべきか」と考える必要はなくなります。
考えるべきなのは、
「今持っている資産のうち、数年後に使う予定のお金はいくらあるか」
ということです。
3〜7年後に使う予定のお金が、債券を検討する目安
資産をいつ使うのかによって、適した置き場所は変わります。
大きく分けると、次の3つに整理できます。
- 直近で使う予定のお金:現金
- 長期間使わないお金:株式
- その中間にあるお金:債券
ここで、債券を検討する一つの目安となるのが、3〜7年後に使う予定がある資金です。
たとえば、10年以上先まで使う予定のない資金であれば、今すぐ値動きを抑える必要性はそれほど高くありません。長期的な資産形成を目的として株式で保有し、成長を狙う考え方ができます。
一方、1〜2年後に確実に必要になるお金であれば、使う直前まで値動きのある資産で持っておくより、現金として確保しておく方が分かりやすいでしょう。
問題になるのが、その間です。
まだ今すぐ使うわけではない。しかし、株式のまま長く運用できるほど時間に余裕があるわけでもない。
このような資金を管理するときに、債券が選択肢になります。
「何歳になったら債券を買うか」ではなく、「あと何年でこのお金を使うのか」で考える。この考え方の方が、資金の目的と運用方法を結びつけやすくなります。
債券が役立つ3つのケース
では、具体的にどのような場面で債券が役立つのでしょうか。
代表的なのは、「将来、資産を取り崩すことがある程度見えているケース」です。
老後の生活費を毎年取り崩す
老後に入ると、それまで積み上げてきた資産を「増やす」だけではなく、「使う」段階に入ります。
たとえば、今後数年分の生活費まで株式で保有していると、資産を取り崩したいタイミングと株価の値動きが重なる可能性があります。
そこで、将来使う予定の資金をあらかじめ株式から債券へ移し、さらに使う時期が近づいたら現金へ移していく方法が考えられます。
老後だから一律に債券比率を高くするのではなく、何年分の生活費を今後使うのかから逆算して考えるのがポイントです。
教育費など、使う時期が決まっている
子どもの教育費のように、ある程度「いつ」「いくら必要になるか」が見えている支出とも債券は相性があります。
たとえば、大学進学など数年後にまとまった資金が必要になることが分かっている場合、その資金は永久に運用できるお金ではありません。
必要な時期が遠いうちは株式で運用し、支出時期が近づいてきたら徐々に債券へ移し、さらに直前になったら現金にする。
このように、支出までの残り期間に合わせて資産の値動きを小さくしていく考え方ができます。
退職・独立などで将来収入が止まる可能性がある
会社員として毎月給与が入っている間は、生活費を運用資産から取り崩さなくても済むケースが多いでしょう。
しかし、退職や独立などによって将来収入が減ったり、一時的に収入が止まったりする予定がある場合は状況が変わります。
今まで長期運用できていた資産の一部を、近い将来の生活費として使う可能性が出てくるからです。
この場合も、「退職する年齢だから債券を増やす」のではありません。
収入が止まった後、どれだけの資金をいつ使う可能性があるのかを考え、その部分から徐々にリスクを下げていきます。
株→債券→現金と段階的に移していく
債券の使い方を最もシンプルに整理すると、
株式 → 債券 → 現金
という資金移動の流れになります。
たとえば、将来使う予定のお金があるとしても、必要になるのが10年以上先なら、最初からすべて現金にしておく必要はありません。
必要時期まで十分な時間がある間は株式で成長を狙い、5〜7年程度前になったら徐々に債券へ移していく。そして、3年以内など実際に使う時期が近づいた資金については現金へ移す。
このように、時間の経過に合わせて段階的に資産の役割を変えていきます。
重要なのは、ある日突然、
「そろそろ使うから、株式を全部売って現金にしよう」
と考えるのではなく、必要になる時期に向けて少しずつリスクを下げていくことです。
たとえば7年後にまとまった支出が予定されているなら、7年分の資金を一度に債券へ移さなければならないわけではありません。
使う時期が近い部分から順番に、
株式から債券へ、債券から現金へ
と移していけばよいわけです。
この考え方なら、債券を「ポートフォリオの何%入れるべきか」という比率の問題だけで考える必要もありません。
まず将来必要になる金額を考え、その資金をいつから安定させる必要があるのかを決める。その結果として、必要な債券の金額や比率が決まります。
つまり、債券比率は先に決めるものではなく、将来の支出計画から逆算した結果として決まると考えると整理しやすくなります。
まとめ
債券を持つべきかどうかは、「何歳だから債券を○%持つ」と年齢だけで決める必要はありません。
まず確認したいのは、3〜7年後に使う予定の資金がどれくらいあるかです。長期間使わないお金は株式、直近で必要なお金は現金、その中間を債券で管理すると考えると、役割が分かりやすくなります。
資産配分を考えるときは、単に株式・債券・現金の比率を見るのではなく、「このお金はいつ使うのか」まで整理してみてください。債券は、株式から将来使う現金へ資産を移していくための「中継地点」として考えると活用しやすくなります。
