「時間をかければ成果が出る」──そう信じていませんか? 特に外資系コンサルの現場では、「いかに短時間で最大の成果を出すか」がプロフェッショナリズムとして求められます。
本記事では、長時間労働が成果を下げる構造的な理由と、限られた時間で最大限の成果を生む「いい努力」の条件について解説します。
“時間=努力”という思い込みを捨てる
「長時間働けば成果も評価も上がる」という考え方は、多くの職場で根強く残っています。 たとえば、私が働く外資系コンサルティングファームの現場ですら、ある上司が「限界まで時間をかけろ」と若手に説いていた場面を見たことがあります。
しかし、これは努力と成果の因果関係を誤解した典型例です。 もちろん、複雑な分析や新しい領域の習得には時間が必要な場合もあります。 しかし、「常に時間をかければ正しい」と考えるのは、思考停止に他なりません。
なぜ危険なのか? 時間は有限のリソースであり、1つの作業に時間をかけすぎるほど、他の価値創出や成長の機会を失うからです。 この「時間の機会費用」が見過ごされがちなのが、長時間労働が成果を下げる本質的な理由です。
成果に直結する“コア時間”を見極める
では、どの仕事に時間をかけるべきでしょうか? 答えは、”成果に直結する「コア業務」”です。
たとえば、重要な意思決定、メッセージの構造化、仮説立案といったタスクは、短時間の集中で大きな成果を生むことが多いのです。 むしろ、これらは「ひらめきの瞬間」が成否を左右することも少なくありません。
一方で、「仕上げ」「整える」「念のための調査」など、付加価値が薄い補完作業に時間をかけすぎる人も多いのが現実です。 ここで重要なのは、価値を生むコア業務と、そうでない作業を峻別する力です。
本当に重要な検討は、朝の静かな1時間で済むこともある。 他人の期待に応えるために、それ以外の時間を埋め尽くすのは、最も非効率な努力だ。
この感覚が、時間の質を大きく左右します。
空いた時間にこそ成長のヒントがある
では、コア業務以外の時間はどう使うべきでしょうか? 答えは、未来の成果につながる自己投資に充てることです。
具体的には、以下のような行動が挙げられます:
- 普段接点のない領域の専門家と対話する
- 異なる分野の思考法や知識を学ぶ
- 睡眠・運動・食事といったパフォーマンスの基盤を整える
これらは一見、短期的な成果には直結しないかもしれません。 しかし、長期的には爆発的な成果の差を生む源泉となります。 特に外資コンサルのような高速PDCA環境では、視野と思考の幅が広い人材ほど上位に抜けていく傾向があります。
時間の使い方に戦略を持つ:ポートフォリオ思考
時間は、お金と同様にリスクとリターンを考慮して配分すべきリソースです。 この視点に立つと、時間配分にも**「投資戦略」の発想**が必要になります。
たとえば、以下のような配分です:
- 70%:成果に直結するコア業務(例:提案書の構造化、議論の設計)
- 20%:将来への投資(例:異業種の読書、ネットワーキング)
- 10%:完全な余白(何もしない時間、家族との時間)
このように、時間を“分散投資”することでリスクヘッジしつつリターンを最大化する──これが、成果と成長を両立させる時間戦略です。
残業して品質を2%高めるよりも、その時間で得られる学びや人との出会いの方が、10倍のリターンを生むかもしれない。
この視点が、時間に対する戦略性を根本から変えます。
まとめ
「いい努力」とは、時間をかけることではなく、時間をどう配分するかを意識的に決めることです。 長く働くよりも、「どの時間が価値を生むか」を見極め、残りの時間を未来への投資に充てる方が、成果にも成長にもつながります。
時間のポートフォリオを最適化することこそ、プロフェッショナルの第一歩。 まずは今日一日の時間配分を振り返り、「投資」としての時間の使い方を見直してみましょう。